⑧葛城・南郷遺跡群・・・イメージ探訪

南郷遺跡群は今世紀初頭、棚田や段々畑を統合する大区画圃場整備事業で発掘された。古墳時代の工房、住居、高殿、祭事場など、葛城一族の都市的遺跡として考古学的な大発見だったが、調査後全て埋め戻され田畑となった。金剛山東麓に散在する遺跡を個々訪ね、葛城一族の繁栄を想像するのは楽しくもあった。

葛城一族の跡を訪ねて

新シリーズ「葛城東麓」を始める。大和が国として始まる原初でもあり、神々が治める国から王が支配する場所の始まりが葛城であると言う。葛城東麓で起こり、豊かな経済力と大陸ネットワークを携え、大和から河内へと展開する大和政権と対立しながらも繫栄していく葛城一族、その足跡をたどる。

①葛城・高天原

葛城一族の祖神・高皇産霊の命で天孫降臨がなされた。風の森の麓から高鴨神社を経て高天へ。参道の森を潜ると稲が黄金に輝く広々とした平原に飛び出る、この体験は天上にも昇る体験に似て幻想的。古代人は実り豊かなこの地を高天原と見て守護神を祭り、葛城東麓一帯の支配に乗り出す。まずは葛城一族の原点を訪ねる旅に出かける

②欠史8代天皇の宮跡と陵墓

大和王権以前に葛城王朝があり、神武後、欠史8代と言われる天皇が秋津洲を中心に治めたとされる。幻の王朝が葛城一族の発展過程であり、綏靖、安寧、懿徳、孝昭、孝安、孝霊、孝元、開化までの宮と陵墓が伝説も含め史跡と認められる。神武、欠史8代天皇の跡をたどり葛城一族の原点を観ようと思う。

③葛城名神大社を巡る。

名神大社とは、「延喜式」で最も格が高い神社とされる。その名神大社が葛城地域には7社もあるが、何故この地域に集中しているのか?初期大和政権である三輪王朝に匹敵する王朝があり、国づくりにかかわる重要な歴史を持つ地域であったからではないか。今回、一言主・葛木水分・葛木御歳の各神社を巡る。

④葛城東麓の古墳群

5世紀末、雄略帝により葛城一族本流が滅ぼされ、拠点が南郷から忍海以北の葛城東麓に移った。強力な大王の一元支配の時代に入り、政権内に留まった葛城氏の活動の跡として、鉄の守護神・笛吹神社、渡来人の墳墓・二塚古墳、葛城の統治者の古墳、飯豊天皇陵・屋敷山古墳、竹ノ内街道周辺の墳墓などがる。

⑤葛上斜向道路ー葛城古道を歩く。

葛城一族が活躍した5世紀、南郷地域は鉄生産を始め大工業地として栄え、葛城と紀伊との交通の要衝でもあった。その主要幹線と推定される葛上斜向道路を御所から長柄に行き、葛城古道、国道24号線を通り、風の森峠、荒坂峠を越え五条までたどる。葛城一族の支配した形跡を確認する旅でもあった。